コンサルティングの一環として、マンション建替えのコンサルタントを継続している。
高経年化(老朽化)したマンションのストック数は年々積み上がっていて旧耐震のマンションは106万戸あるといわれている。
マンション、というより建物の寿命について考える機会が多い。
昨今の動向としては、旧耐震の建物ストックが問題化され、昨年「耐震化促進法」が施行された。
耐震性不足の建物を将来に渡って使用していくことについては、徐々に問題視され、高経年マンション(決して見た目は老朽化していない)
マンションまでもが建替えを検討し始めたことを感じている。これまでは、昭和30年代~40年代に建てられたマンション管理組合からの相談が多かったが、昭和50年代のマンション管理組合からも相談をいただく機会が増えてきた。
建物の寿命には、大きく3つの要素があって、
1.物理的寿命
・・・物理的に使えなくなる。機能が衰えて使うのが困難になる。
2.経済的寿命
・・・物理的に修繕して使うことはできてもお金が掛かり過ぎる。新築した方が安い。或いは、(賃貸)収入とのバランスで効率が悪い。
3.社会的寿命
・・・ 一般的なニーズに合わなくなる。時代遅れ、必要な機能が満たせない。 使いたくなくなる。
というものである。
1.の物理的にというのは、建築技術が発達した今日ではよほどのことが無い限りモタセルことはできる。
でも耐震の補強をしたとしても、主要開口部が閉鎖的になったり、という、質の低下が生じたりする。
また、2.経済的寿命に移行して、直すより建替えた方が良い、という判断へとスライドしていくになる。
マンション建替えで、「修繕か建替えか」という比較をするのが一般的だが、2.と3.の両方を兼ね合わせて検討されるので、
仮に、修繕より新築の方がコストが多少高くなったとしても、新築(建替え)を選択する、ということになる。
(実際に、経済的寿命といわれるものも、修繕の方が高い、ということをさしている訳ではなく、その先の修繕費も鑑みて判断される)
実際には最も多いのが3.の社会的寿命と言われている。
耐震力不足に対して社会的な意識が変わってくると、寿命を終える建物も多くなる。
兎にも角にも、106万戸の旧耐震のマンションのマンション建て替え事例は、10数年かかって14,000戸あまりでしかない。
このペースを考えると、これらの対策を講じていく事を担う、建替えのコンサルタント、アドバイザーはもっと頑張らなければならない。
また、新たな手法として、区分所有関係を解消して、敷地を売却しやすくするための法整備も今国会で成立する予定だ。
様々な手法を駆使して、それぞれの管理組合の思いを形にしていく。
知識や調整力だけでなく、都市の今後のあり方、人々の住まい方を想像して創造していく、という高い資質がコンサルタントという職種には求められていると感じている。
石川修詞