都市再生、老朽化マンション再生、と「再生」という言葉を使う機会が多くなった。
改めて、再生の意味を考えてみた。
・・・まずは、広辞苑より、再生とは、、、
①死にかかったものが生きかえること。蘇生。復活
②再びこの世に生まれかわること。再誕。
③精神的に生まれかわること。信仰に入って新しい生活を始めること。新生。
④失われた生物体の一部が再び作られること。動物では、脱落していく表皮が常に新生するような生理的再生と、切断で失われたイモリの肢が再び形成されるような病理的再生とがある。
⑤以前に経験した事象や、学習し保持じした事柄・内容を思い出すこと。
⑥廃棄物を原料として、同質の物を取り出すこと。再生。
⑦音声、映像を録音、録画しておいて再びもとのまま出す事。・・・・
本来、再生とは人や生物体に用いる言葉であったが、科学技術の進化で、録音→再生、のように機械や物質に対しても使われるようになった。
更に、街や建物など、古くなった物を蘇生させる。新しく生まれ変わらせる。という具合に様々なものに当てはめられるようになっていった。
もっと範囲を広げていくと、「コミュニティーの再生」など、無形のものに当てはめられる。
都市もその様々な集積、機能や成り立ちから、生命体に例えられる事も多いが、日本も成熟社会となり、人々の繋がりや、無形の思いについても生命体であるが如く捉えるようになったのは当然の流れだと思う。
再生には、単に「そのまま生きかえる」のではなく、「新しく作り変えられる」という、範囲も含まれている。
言葉の定義だけ並べても理屈っぽくて面白くないという声も聞こえてくる。。。
また何の再生を指すか、によって言葉の意味は大きく変わる。
私が、敢えてここで再生の定義について振返ってみたのは、マンション再生、都市の再生に関わるものとして、「生まれかわること」の範囲には、次の二つの要素(包容力)がとても大切である、と再認識したかったからである。
①単に建物や物理的な都市の作り変えだけでなく、そこに集う様々な人の関りの再生があって始めて再生に値する。
②その生まれかわり方は、同質なものへの再生でも良いが、異なる物(異質)への再生であっても良い。(広いバリエーションの中から良い選択を行う)
マンションの再生手法には、改修(耐震補強やリノベーションを含む)、建替え、敷地売却など、選択肢があり、総括して呼びやすいので、括って「再生」と呼んでいるが、どの手法であっても上記二点を念頭において再生を目指したいと思う。
同質なものへの再生であっても、イモリが切断した足を再生させるが如く、そこには力強さが必要である。
石川修詞