コーポラティブハウス(方式)の応用考 ①マンション建替えへの応用

~~小規模マンションの建替え手法として~~

分譲マンションの建替えがなかなか進んでいない。「建替えは殆どできない」と論じている評論家もいる。

確かにデータで見る限り事例は少なく、現時点集計されているものでも200棟あまり、建替え後に床面積が増えるなど、経済条件が良いマンションは限られている。また、そもそもマンションという様々な経済状況、年齢、ライフスタイル(あるいはライフプラン)の異なる人々の合議体である管理組合においては合意形成が容易ではないという現実がある。

これまで建替えが実現した例を見ると、①建替え後に一定の容積増加(床面積が増える)があり、その余った床(余剰床)を売って収入にする事で費用負担を軽くできたもの、②マンション立地として好立地で、デベロッパーが参画したいと思うもの、が圧倒的に多い。

ただ、私が関わった建替えでは45平米30戸が、わずかに38戸に増えだけというものがある。

僅かに増える床でも、収入があり、全額を負担するよりは良いという判断が成り立てば実施できるのである。また、規模の少ないマンションだからこそ互いの顔が見え、団結を強めることができるという利点もある。

では、僅かな余剰床をデベロッパーの協力を得ずに行うにはどうしたら良いか。

中間経費を省略できる、コーポラティブ方式で建替えに新に参加する組合員を募る事は有効である。

皆で資金を捻出して、「一旦完成させてから余剰床を売る」、ということも理論上は可能であるが、その資金繰り(調達)、売れ残りリスクを全組合員(建替え参加者)が負う、ということは概ね個人の集合体である組合には選択しにくい側面がある。

ただ、個人の合議体が資金繰りや各種契約、調整等を全てできるかというとデベロッパーのような資金や対外交渉力、ノウハウを持ったパートナーがいるよりも不安定になることは否めない。

そこで、多角的なノウハウを提供できるコンサルタント、(或いはコーディネーター)の役割が大きくなる。これまで、コーポラティブハウスを何十棟と完成させてきた私からすると、(大変な仕事ではあることは間違いないが)実現できて当たり前だと考えている。

資金の面では、住宅金融支援機構も建替え事業に対して融資を行っており、勿論様々な審査もあるが、このスキームにも理解を示している。(補助を受けスキーム開発した際に相談済み)

最近では、マンション建替えについて相談を受けたり、の講師を依頼されたりした際に、実現を諦めていたマンション(条件)に対して、様々な応用を呼びかけているが、何も応用は仕組みをコネクリ回して難しくすることではない。敷地の応用(共同化する、或いは用途に応じて分割する)、権利の種類の応用、そして登場人物の応用で、多くのソリューションが可能だと思う。

詳しくは、鳩ノ森コンサルティング(代表山田尚之氏)とコンサルティングチームを結成し、活動しているページをご参照ください。

http://www.m-saisei.com/saisei.html

もとより、マンション再生において、私は建替えだけを推奨していない。「まだ使えるものは直して使う」、「新しくした方がよければ建替える」、「どうにもならなければ売って資産を組替える(敷地売却、区分所有関係の解消)」とその状況、条件に合った対策をしてくことは大切である。

それぞれの手法については、他で記載、寄稿をしていきたい。

まだ建替えを含めた再生の事例が少ない、と言っていられるのはあと数年だと思う。

高度成長期にストックされた耐震不足のマンションが老朽化し、待った無しになるのはこれからである。

石川修詞

This entry was posted in コーポラティブハウス, マンション再生・建替え. Bookmark the permalink.

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>